第15話 恋とはきっと欲求だ
残酷な人だな――。
ボクは誰もいない学園のサロンで、1人ソファーに寝転がっていた。スカートが少し捲れてしまっている。中が見えてしまいそうだが、誰もいないので気にしない。
せっかく用意したルシアンとの接点も、来ないのであれば意味を成さない。
「……本当に、残酷な人だ」
ぽつり、と呟く。
その嘆きに似た言葉は誰に届くこともなく、夜闇に消えてなくなっていく。
ルシアンは平等だ。
誰に対しても分け隔てなく接してくれる。
差別にも、身分にも――性差にも囚われず、彼はどこまでも平等だった。
「ふ、優しい人だ」
そして、やっぱり酷だ。
それだけ聞けばいい人のように聞こえるけど、実際のところそれは特別を作らないということに他ならない。
その平等さが心地よかった。
たった3回会っただけなのに、その高揚感をまた味わいたいとまたと望んでしまった。
あの人の――ルシアンの特別になりたいと、そういう欲が出てくる。
だから、心地よいと思っていた平等さを残酷と捉えてしまうようになった。
「……ははっ」
本当に身勝手だ。
自分のことなのに笑ってしまう。
でも、それでもボクは――私はあなたの特別になりたいんです。
平等に優しくしないでほしい。
私だけを見ていてほしい。
私だけに笑いかけてほしい。
私だけと――恋をしてほしい。
「ふふっ」
赤い封蝋がされた手紙を掲げる。
それはラブレター。
男として生きてきた私への負い目を利用した――キミに決めたから、よろしくね婚約者。
◆第1部&第3章_fin◆
__To be continued.